月別アーカイブ: 8月 2015

ダイマッコウの深海へ!

 私は2003年に共著で『深海のパイロット』(光文社新書)というノンフィクションを出版し、宇宙にも匹敵するフロンティアで活躍する人々の現場を紹介した。 水深何千メートルもの海底へ潜航できる潜水調査船のパイロットや整備士、

盗聴

 最初に試したのは聴診器だった。本物によく似た玩具をドラッグストアで買ってきて、まず自分の心臓に当ててみた。期待していたほどには聞こえない。しかし息子を実験台にしてみると、体内の様々な音が実によく聞こえる。理由は不明だが

老人と海

「カジキ」という魚はいる。しかし「カジキマグロ」というのはいない。  日本最西端の島、与那国で漁業を営むSさんは、そう何度もくり返した。そんな魚は、どこを探したっていない。内地(沖縄を除く日本)の鮨屋が勝手にでっち上げた

カメが大きくなる方法

 私の日常は、朝起きてカメの飼育ケースにライトをつけることから始まる。光より熱を放射することが目的のライトで、爬虫類の飼育にはよく用いられる一種のヒーターだ。飼っているのは「ヨツユビリクガメ」とか「ホルスフィールドリクガ

『2012』人類は滅亡するか!?

 ハリウッドは、手を変え品を変え地球を破壊しようとしてきた。巨大隕石を落としたり、異星人や怪獣やロボットに襲わせたり、水びたしにしたり、氷漬けにしたり、地磁気を逆転させたり、と枚挙にいとまがない。  中でもローランド・エ

『ストーンエイジCITY』を訪ねて

 フランス南西部に「先史時代の世界の中心地」と呼ばれている小村がある。「先史時代の主都」と訳される場合もある。ドルドーニュ県のレゼジー・ド・タヤック村だ。おそらく多くの日本人には、馴染みのない名前だろう。しかし村の中には

私のこだわり

「朝食」  私の場合の「こだわり」は、むしろ病的な「こだわり行動」と呼ぶべきであることが多い。それは朝から発現する。  我が家は夫婦と息子の三人家族だが、朝食の用意は私の役目だ。材料を買いそろえておくところから、調理、セ

「ふるさと」の物語

 岩手県の水沢で『辺境生物探訪記』の取材をした帰りに、初めて遠野を訪れた。ちょうど雪が降り始めたところだった。ついでに足を伸ばしてみたくなっただけで、そこを舞台に小説を書こうとは、まだ考えていなかった。  レンタカーや貸

リアル「ボッコちゃん」と「鍵」

先日「ボッコちゃん」に会った。 いや、正式な名前は「ジェミノイドF」というのだが、私にとっては生まれて初めて出会うボッコちゃんであった。 大阪大学の特別教授で、ロボット研究では世界的に名高い石黒浩先生の研究室に彼女はいる