ブログアーカイブ

筒井康隆 讃

「ハード」な「スラプスティック」の魅力 「筒井康隆ってSF作家なの?」という声を聞くことが、たまにある。私もそれに対する明解な答えを持っているわけではないし、明解に答えようとも思わない。しかし少なくとも私が最も親しんだの

週間読書日記

11月×日 文部科学省の補助金で開かれた「動物の形作り―その最前線と新展開」という公開シンポジウムを聞きに行く。現在、構想中の小説に必要な知識を得るためだが、それはそれとして生物の形がどのようにできるのかには昔から興味が

異国の出来事

酔いどれの吟遊詩人とでも言うべきトム・ウェイツからは、色々な意味で影響を受けている。しかし個々のアルバムや曲に、直接関係した思い出があるわけではない。ただ『異国の出来事』(イーストウエスト・ジャパン)に収められている「バ

海の壁

クリックするとPDF形式で開きます。 http://www.hrnet.co.jp/publication/pdf/terra8_3.pdf

神話風、冥王星「降格」劇の真相

 秋の夜長、蛍族の私がベランダで煙草を吹かしていると、澄んだ星空から、ちょっと蓮っ葉な女性の声が聞こえてきた。  ……冥王星のことは前から気に食わなかったのよね。私よりチビのくせして何十年も惑星だなんて名乗ってたのよ。し

マイ・ヒーロー&ヒロイン 【ミギー】 岩明均『寄生獣』(講談社)

 右手だから「ミギー」である。人間ではないし性別も不明、宿主に寄生しなければ死んでしまうから半端な生き物だ。しかし極めて知的で戦闘能力も抜群。こんなに奇妙なヒーローも珍しいだろう。  ミギーに出会ったのは一五年以上も前で

ダイマッコウの深海へ!

 私は2003年に共著で『深海のパイロット』(光文社新書)というノンフィクションを出版し、宇宙にも匹敵するフロンティアで活躍する人々の現場を紹介した。 水深何千メートルもの海底へ潜航できる潜水調査船のパイロットや整備士、

盗聴

 最初に試したのは聴診器だった。本物によく似た玩具をドラッグストアで買ってきて、まず自分の心臓に当ててみた。期待していたほどには聞こえない。しかし息子を実験台にしてみると、体内の様々な音が実によく聞こえる。理由は不明だが

老人と海

「カジキ」という魚はいる。しかし「カジキマグロ」というのはいない。  日本最西端の島、与那国で漁業を営むSさんは、そう何度もくり返した。そんな魚は、どこを探したっていない。内地(沖縄を除く日本)の鮨屋が勝手にでっち上げた

カメが大きくなる方法

 私の日常は、朝起きてカメの飼育ケースにライトをつけることから始まる。光より熱を放射することが目的のライトで、爬虫類の飼育にはよく用いられる一種のヒーターだ。飼っているのは「ヨツユビリクガメ」とか「ホルスフィールドリクガ